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「SDGs × 海外ビジネス」コンセプトメイキングセミナー開催レポート①バングラデシュとODA

「SDGs × 海外ビジネス」コンセプトメイキングセミナー開催レポート①バングラデシュとODA

2019年3月8日に、Digima〜出島〜 海外ビジネスサロンさま主催にて弊社代表の岩井が登壇しセミナーを開催させていただきました。 

セミナーのテーマは「グローバル時代の<CSR>」です。企業の社会的責任=CSRへの取り組みは、今や企業の優先課題となりつつあります。CSRは企業のブランディングにも深い関係性を持ち、マーケティング戦略、そして事業運営にも重要な影響を及ぼすものになっています。そうした中、2015年に「SDGs(国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」)」と「海外ビジネス」の掛け合わせが注目を集めています。これからの海外ビジネスを検討する上で、こうした「グローバル時代のCSR」と言える取り組みがトレンドとなっていくことが予測されます。

実際に岩井が2ヶ月間バングラデシュに渡航し、実際に現地で目の当たりにした課題や、日本企業と現地法人を繋ぐ活動などの経験を交え、「デザイン」という角度からよりよい社会・文化の実現を視野に入れた経営課題解決のための戦略的CSRについてご紹介させていただく機会となりました。

本記事では数回に分けて、セミナーの内容やリサーチについてご紹介いたします。

バングラデシュについての理解

まずはバングラデシュについての地政情報です。
バングラデシュはおよそ北海道2つぶんほどの国土を持つ国で、人口1億6000万人が暮らしています。(参考:日本の人口は1億250万人/2019年現在)公用語はベンガル語ですが、大学の授業は全て英語であるなど日常生活にも多く英語が使われています。首都はダッカ、306k㎡の広さの620万人都市です。(参考:東京は622k㎡・927万人/2019年現在)

1.バングラデシュのGDP

GDPの世界順位は43位、およそ日本の1/20です。年次比較ではポイントをあげており、経済発展中の国であるということができます。物価は日本の1/5〜1/7程度であり、アジア近隣諸国との比較でも低めの水準であることがわかります。

2.教育・インフラについて

全国的に初等教育までが50%と、教育水準が高いとは言えません。首都部でも前期中等教育(15歳までを対象とした教育)での終了率が75%に及びます。

● バングラデシュの学校制度
就学前教育(1年)
初等教育(5年)=義務教育期間(6〜10歳)
中等教育(7年:3-2-2年)=11歳〜18歳
高等教育(3年~)= 19歳〜

また、インフラ環境においては農村部の電化、水道、トイレなどの整備が進行中であることがわかります。特に飲用水道水の普及はバングラデシュの国土環境では難易度が高いため整備に時間がかかっています。

参考:JETROレポート

3.医療事情について

バングラデシュの死亡要因は20年で大きく変化しています。(下左グラフ)1990年代にその割合を大きく占めていたのは、下痢や栄養失調による乳幼児の死亡、マラリア、結核などの感染症であり、特に感染症による死亡は全体の6割を占めていました。こうした死因の背景には、農村部における保健衛生に関する教育機会や知識不足、またその支援体制不足があげられます。

前述した水道などの生活インフラ、教育体制による知識の欠如、マラリア感染などを引き起こす蚊に無防備な居住建築など、基本的な保健衛生面での対応が遅れていたことと、病人を治療するクリニックや医者、看護婦の数が圧倒的に少なかったことがその原因とされています。2010年代には感染症での死亡率は大きく改善されていることがわかります。

4.バングラデシュ滞在での発見

ここからは実際に岩井が現地で体験・ヒアリングした内容や撮影した映像から、現地の課題を考えていきます。

上記は市内と、水運物流拠点での映像です。
市内の映像では道路が舗装されておらず、水はけが悪い状況であることがわかります。そういった環境で食料品を含む様々な商品の取引が行われています。後半(4:43〜)の水運物流拠点の映像では、ゴミの散乱と水質の悪さが目を引き、国として環境面で多大な課題を抱えていることがわかります。

ODA大国としてのバングラデシュ

ODAとは政府開発援助(Official Development Assistance)をさします。開発途上国やそれに該当する地域に対し、経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的とし、公的機関によって供与される贈与および条件の緩やかな貸付などのことです。日本が行なっているODAについて外務省がまとめた図が下記の通りです。活動は大きく次の4つ「無償資金協力」「技術協力」「円借款(政府等向け)」「海外投融資(民間セクター向け)」と分類されています。

ODA(政府開発援助)受取額 国別ランキング:2017年
シリア、エチオピア、アフガニスタンに続きバングラデシュは第4位に入っており、ODAの支援のうち「無償資金協力」および「円借款」「海外投融資」を多く受けているこことがわかります。また下のデータにおいては、日本は2016年の実績では援助国としては世界6位であり世界的にも積極的な取り組みを行なっている国の1つであると考えられます。

しかしそういった政治的・社会的な背景の中、バングラデシュで実際に岩井が目にした課題は下記のようなものです。

① 散乱するゴミ対策で設置された金属製のゴミ箱が盗難にあう

②水道環境対策のために無償で提供設置された浄水設備が、維持不可能になり放置され(結果粗大ゴミに)

こういった課題は、単なる資金援助による開発支援の限界を示唆しているように感じられます。

「一体どのようなアプローチによって解決しうるのか?」「真の課題はどこにあるのか?」といった、より本質的な問いかけを必要とする課題であることは間違いありません。

①のバングラデシュとODAについてはここまで、次回はCSRやSDGs領域に触れていきます。

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