hello, 辻原です。
今回はCOVID-19パンデミック以降、アメリカを中心にグローバル企業が注力する「Wellness Management / ウェルスマネジメント」について様々なデータをもとに傾向をまとめていきたい思います。「社内でのウェルネス課題を抱えているけど具体的に取り組めていない」「近似領域の事業を推進しており外部洞察が欲しい」などなどお役に立てますと幸いです。
Wellness Managementは日本語で訳すと「健康経営」という表現になりますが、「Wellness」には身体のみならず「精神の健康」、さらに健康を害す要因の排除、促進する働きかけなどの意味を含みます。具体的には下記のように定義されています。
・輝くように生き生きしている状態(Halbart Dunn / 1961) ・身体的、精神的、社会的に健康で安心な状態(Global wellness institute / 2015)
COVID-19パンテミック以降〜と書き出しましたが、初めて提唱されたのは1961年です。ではなぜパンデミックによって注目されるようになったのでしょうか。いくつかのデータを参照してみましょう。
リモートワークとストレス
COVID-19パンデミックにより国内でも都市部企業を中心の多くの会社がリモートワークを推奨し、2022年の現在では一般的ワークスタイルとして定着しつつあります。「新しい働き方」として東京都を中心に感染抑圧対策と合わせ希望的訴求行いましたが、その新たなワークスタイル発展の陰で増加していたのは、従業員のヘルスケアに関する問題です。
オムロン社のリサーチを引用してみましょう。
新型コロナウイルス感染症の流行における意識と生活習慣の変化 (2020.5)
多くの人が経験しているように、リモートワークの推進は主に2つの課題をもたらしています。
①運動機会の減少による身体不調
②ストレスの増加
では企業の取り組みはどのように進んでいるでしょうか。別のサーベイを見てみましょう。
株式会社月刊総務のリサーチより
テレワークにおける従業員のメンタルケアに課題を抱えていると感じている企業は73%、しかしながら特に施策を実施していないとする企業は28%となっており、課題はあるものの実際の取り組みが難しい分野であることもわかります。
また施策では相談窓口の設置・アンケートや聞き取りによる実施が大半を占めており、個別対応やリアルタイムでのケアが行き届いていない状況であること、ストレスケアのプログラムやサービスが行き届いていない状況であることがわかります。
健康経営やウェルネスプログラムに対する投資とその重要性
日本でも2021年6月に経産省より健康経営推進に対する概要が発出されており、その重要性や注目が高まっています。(経産省:健康経営の推進について )
当該資料より「健康経営」および「健康投資」について下記のようにまとめられています。
●健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。
●健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組。
●企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。
経産省の過去の資料では、メンタルヘルス領域への投資について「健康投資1ドルに対するリターンが3ドルになるとの調査結果」としてJohnson & Johnson社のリサーチデータを引用しています。
しかしながら、国内での健康経営実践企業は大企業で52%を上回るものの、全体では31%となり広く浸透しているとは言い難い状況となっています。健康経営の効果は企業内外対する評価項目が挙げられていますが、実際にはまだまだ効果測定が難しいことが大きな実践障壁の1つです。(参照
従業員の健康不調による損失
日本だけでなく、世界中の企業がリモートワークによる健従業員の健康管理に課題を抱えています。米国では従業員の不調による損失が年間2.2兆ドル(GDPの12%にのぼる)、スイスではGDPの1.2%を、ドイツでは従業員のストレスによる直接コストで990万の損失があったと推定されています。
さらに米国ではヘルスケアの問題による従業員のパフォーマンス低下よりも、企業が従業員に提供する健康保険料の増加が大きな課題になっており、そのため企業によるウェルネスプログラムへの積極的な投資が行われていると考えることができます。
前述したように、ウェルスマネジメントの費用対効果の測定が難しいにもかかわらず、米国でのウェルネスマネジメントへの投資が進んでいる背景にはこうした直接的なコスト増加が挙げられます
HRテックとしてのウェルスマネジメント
医療費などの直接的なコスト増以外にも米国での投資が増加している理由として、米国がHRテック先進国であることが挙げられます。欧米では従業員1人当たり年間約2万2,000円のHRテックの投資を実施しており(日本投資額は米国の1.4% / 2017年データ)HRテックへの投資によって、従業員エンゲージメントを向上させ優秀な人材の流出を防ぐことを主な目的としています。日本でもGoogleやNETFLIXなどの米国企業の「働き方」について最新の手法を学ぶ機会が多いのは、彼らがHR領域へ投資し、その取り組みにより有用なデータを取得できているからに他なりません。
つまり米国でのウェルネスマネジメント導入はHR投資の側面を持ち、従業員エンゲージメント向上が主要な目的であるということです。日本国内においても、コロナ禍を受けて転職市場の成長やジョブ型雇用への転向、副業率の増加など様々な雇用と働き方の変化を受け、従業員エンゲージメントに対する意識の高まりが見られるため、欧米と同様にHR領域への投資としてのウェルネスマネジメントおよびプログラムの需要増加を見せる可能性があります。
ウェルネスマネジメント領域の成長予測
コーポレート・ウェルスネス市場は、2027年までに6.1%の割合で成長し、881億米ドルに達すると予想されています。ここにHRテックの要素が加わると市場はさらに大きくなり、日本国内においては中小企業の導入が進むとテクノロジーとマーケットの好循環が期待できると考えられます。
具体的なサービス事例や詳しい取り組み課題などをより深く理解したい方は、ぜひ下記参考資料をご覧ください!
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