未来の産業マップ:社会課題を起点に読み解く、13のテック領域
- SAKI Tsujihara
- 3 時間前
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更新日:3 時間前

エネルギー、医療、食、都市をはじめとした生活・社会・経済のインフラストラクチュア...
世界は今、かつてない速度で社会構造の再設計を迫られています。脱炭素・高齢化・食料不安・孤独といった複雑な課題に対し、解決の鍵となるのがテクノロジーとデザインの力です。
ILY,ではこれまでいくつかの先端産業に関する情報発信してきましたが、今回の記事では、さらに視野を広げ、これからの10年で新たな価値を生むであろう「13の成長領域」を、社会課題ベースで体系的にマッピングしました。新規事業開発・事業企画に関わる方、スタートアップやVC、CVCの投資担当者など、これからの社会づくりに取り組む皆様と視点を交換できますと幸いです。
なぜこの13領域なのか?
これら13のテック領域は、単なる技術トレンドの分類ではなく、現代社会が直面する根本的な課題を起点に整理されています。気候変動、高齢化、食料安全保障、心の健康危機、格差拡大、都市機能の持続可能性といった喫緊の社会課題に対して、テクノロジーでどのようにアプローチできるかという視点から抽出しました。また、これらの領域は互いに独立したものではなく、AI基盤技術を中心に相互に影響し合い、組み合わさることで新たな可能性を生み出しています。
これら13の領域が重要である理由は、次の3つの観点から説明できます。
①経済的な成長性
②社会的インパクト
③規制環境の変化
各領域は政府支援やベンチャー投資が集中している成長市場であり、次世代の産業の柱となる可能性を秘めています。次に、単なる利便性向上ではなく、人類や地球の持続可能性に直結する課題解決を目指している点で、長期的な社会的価値を創出します。そして、カーボンニュートラル政策やデジタル規制
など、世界的な法規制の変化が各領域にビジネスチャンスを生み出しています。
未来の産業マップ:13の注目領域
1. バイオテック
バイオテックは医療や生命科学の革新を担う分野です。遺伝子編集技術(CRISPR-Cas9など)やmRNAプラットフォームを活用し、これまで治療が困難だった難病・がん・感染症への画期的なアプローチを可能にする技術です。また、幹細胞技術を活用した再生医療や、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の解析・改善を通じた健康増進も急速に商用化が進んでいます。特に注目すべきは、AIとの融合によるドラッグディスカバリーの効率化で、新薬開発期間の大幅短縮が期待されています。バイオテックは医療費削減と健康寿命延伸という二重の社会的価値を生み出す可能性を秘めています。
先行企業
Moderna / アメリカ mRNAワクチン・治療薬の先駆者として知られ、COVID-19ワクチンの成功を足がかりに、がん・自己免疫疾患などへの適用拡大を推進。
BioNTech / ドイツ
ファイザーと共同でmRNAワクチンを開発、がん免疫療法や希少疾患治療への応用研究を推進。
CRISPR Therapeutics / スイス
遺伝子編集技術CRISPR-Cas9を臨床応用し、遺伝性疾患や血液疾患の治療法開発に取り組む。
ペプチドリーム / 日本
特殊ペプチド創薬プラットフォームを持ち、従来の低分子医薬や抗体医薬では標的化できなかったタンパク質に作用する新薬開発を世界の大手製薬会社と推進。
2. エネルギーテック
エネルギーテックはクリーンエネルギーと電力インフラを刷新する領域です。太陽光・風力をはじめとする再生可能エネルギーの低コスト化・大規模導入、水素製造・輸送・利用の商用化、リチウムイオン電池を超える次世代蓄電技術の開発、AI制御によるスマートグリッドの構築などが急速に進展しています。特に重要なのは、①エネルギー生産の脱炭素化、②エネルギー貯蔵の大容量化・低コスト化、③エネルギー流通・消費の最適化という三位一体のアプローチです。カーボンニュートラル政策の世界的な広がりを背景に、政府支援や民間投資が集中し、従来のエネルギー産業の構造を根本から変革しつつあります。
先行企業
Ørsted / デンマーク
石油・ガス企業から世界最大の洋上風力発電事業者へと変革を遂げ、欧州・アジア・北米で大規模な再生可能エネルギー事業を展開。
NextEra Energy / アメリカ
北米最大の再生可能エネルギー事業者で、風力・太陽光発電の大規模プロジェクトを通じてコスト競争力のあるクリーンエネルギー供給を実現。
Shell / イギリス・オランダ
石油メジャーでありながら、グリーン水素製造や大規模蓄電プロジェクトなど次世代エネルギー技術への投資を積極的に行いながら事業転換を推進。
Power Ledger / オーストラリア
ブロックチェーン技術を活用したP2Pエネルギー取引プラットフォームを開発し、分散型電源の価値最大化とエネルギー民主化を推進。
3. クライメートテック
クライメートテックは気候変動問題へのテクノロジーアプローチを総称する領域です。直接的なCO₂排出削減技術だけでなく、排出量の計測・可視化・報告プラットフォーム、大気中CO₂の直接回収(DAC)、森林再生や海洋利用などのネイチャーベースの解決策、気候変動への適応を支援するレジリエンスインフラまで幅広く含まれます。気候テックの特徴は、単一技術ではなく多層的なソリューションの組み合わせが必要なこと、そして短期的収益よりも長期的な社会・環境コストの削減という視点が重要になることです。パリ協定やESG投資の枠組みが追い風となり、世界的に急成長している分野です。
先行企業
Climeworks / スイス 大気中からCO₂を直接回収するDAC技術を商用化し、回収したCO₂を地下貯留または産業利用する事業モデルを構築している。
Carbon Engineering / カナダ 大規模DACプラントの開発と、回収したCO₂から合成燃料を製造する技術の商業化に取り組む。
Watershed / アメリカ
企業向けのカーボンフットプリント測定・報告・削減プラットフォームを提供し、科学的根拠に基づいた脱炭素化戦略の策定を支援。
Charm Industrial / アメリカ
バイオマスを液体状の「バイオオイル」に変換し、地下に安全に貯留することで、炭素除去クレジットを企業に提供するネガティブエミッション技術を開発。
4. フードテック
フードテックは食の未来を再定義する分野です。人口増加、気候変動、資源制約という三重の課題に対応するため、食料生産・流通・消費の全過程をテクノロジーで変革しています。特に注目されるのは、植物由来の代替タンパク質や培養肉などの「代替食品」、垂直農法やスマート農業などの「次世代農業」、そしてフードロス削減や持続可能なパッケージングなどの「流通革新」です。フードテックの社会的意義は、①食料安全保障の強化、②食料生産の環境負荷低減、③健康的な食生活の支援という多面的な価値創出にあります。特に代替タンパク質市場は2030年までに倍増すると予測されており、投資が急増している領域です。
先行企業
Upside Foods / アメリカ
動物細胞から培養肉を製造する技術を開発し、世界初の規制承認を獲得した培養肉企業の先駆者。
NotCo / チリ 独自のAIアルゴリズム「Giuseppe」を使って植物由来の代替乳製品・肉製品を開発し、南北アメリカを中心に急成長している。
Plenty / アメリカ 垂直農法技術を用いて都市部近郊での高効率野菜生産を実現し、従来の農業と比較して水使用量を95%削減、土地利用を99%削減している。
5. エイジテック
エイジテックは超高齢社会の課題に応えるテクノロジー領域です。世界的な高齢化が進む中、介護人材不足、医療費増大、社会的孤立などの問題を解決するためのイノベーションが急速に発展しています。具体的には、AIやロボティクスを活用した介護支援、遠隔医療・在宅ケアのデジタル化、認知症予防・管理アプリ、高齢者の社会参加を促進するプラットフォーム、加齢関連疾患の早期発見技術などが含まれます。日本は世界最速で高齢化が進む「課題先進国」として、エイジテックの社会実装と海外展開において先導的役割を果たす可能性があります。2030年には世界の60歳以上人口が14億人を超えると予測され、市場の拡大が確実視されています。
先行企業
Honor / アメリカ テクノロジープラットフォームを通じて在宅介護サービスを効率化し、介護者と高齢者のマッチングや質の高いケアの提供を支援。
Uniper / フランス
テレビやタブレットを使った高齢者向けのビデオ通話・オンラインイベントサービスを提供し、社会的つながりの維持と孤独感の軽減を実現。
Rendever / アメリカ
高齢者向けのVR体験プラットフォームを提供し、認知症ケアや社会的交流の促進、思い出の場所への仮想訪問などを可能にしている。
QOLO / 日本
下半身麻痺者向けの装着型移動支援ロボットを開発し、立位と座位を自在に切り替えられる自立支援技術で高齢者の活動範囲拡大を実現している。
6. メンタル&ウェルビーイングテック
メンタル&ウェルビーングテックは心の健康と全人的な幸福度向上に焦点を当てたテクノロジー分野です。世界保健機関(WHO)によれば、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス問題は世界で10億人以上が抱える課題であり、経済的損失は年間1兆ドル以上と推計されています。この領域では、AIを活用したオンラインカウンセリング・セラピー、睡眠の質を測定・改善するウェアラブルデバイス、ストレスや感情の可視化ツール、マインドフルネスやメディテーション支援アプリ、企業向けメンタルヘルスプラットフォームなどが急成長しています。特にCOVID-19パンデミック以降、メンタルヘルスの社会的認知度が高まり、B2C・B2Bともに市場が拡大。デジタルによるアクセス性向上と匿名性が普及を後押ししています。
先行企業
Headspace / アメリカ
マインドフルネスと瞑想に特化したモバイルアプリを提供し、ストレス軽減や睡眠改善などのウェルビーイングプログラムを個人・企業向けに展開。
Woebot Health / アメリカ
認知行動療法(CBT)に基づいたAIチャットボットを開発し、24時間いつでもメンタルヘルスサポートを提供するデジタルセラピーのパイオニア企業。
Unmind / イギリス
企業向けのメンタルヘルスプラットフォームを提供し、予防的アプローチと科学的根拠に基づいたプログラムで従業員のウェルビーイング向上を支援。
7. スペーステック
スペーステックは宇宙空間の商業利用と地球観測技術を革新する領域です。小型衛星の低コスト化・多数打ち上げによる「ニュースペース」時代の到来により、地球観測データビジネス、衛星通信サービス、スペースデブリ除去、宇宙旅行、月・小惑星などでの資源採掘といった新たな市場が拡大しています。特に注目すべきは、高頻度・高解像度の地球観測データが農業、防災、インフラ管理、環境モニタリングなど幅広い産業に変革をもたらすことです。世界各国が宇宙産業を国家戦略として位置づける中、民間企業の参入障壁が大きく下がり、スタートアップから大企業まで多様なプレイヤーが宇宙ビジネスに挑戦しています。2040年までに世界の宇宙産業は1兆ドル規模に成長すると予測されています。
先行企業
Planet Labs / アメリカ
小型衛星コンステレーションを構築し、地球全体を毎日撮影する能力を持つ地球観測データプラットフォームを運営している。
Astroscale / 日本
宇宙デブリ除去技術を開発し、軌道上サービスを通じて持続可能な宇宙環境の維持に取り組むスタートアップ。
ispace / 日本
月面資源探査と利用を目指す民間月面輸送企業で、月面での水資源探査や商業利用の先駆者。
Axelspace / 日本 小型人工衛星「AxelGlobe」による地球観測プラットフォームを構築し、各産業向けの高頻度・高解像度データサービスを提供している。
8. モビリティテック
モビリティテックは移動の概念を根本から再定義する技術領域です。自動運転技術、MaaS(Mobility as a Service)プラットフォーム、電動モビリティ(EV、電動キックボードなど)、空飛ぶクルマ(eVTOL)、ハイパーループなどの次世代交通システムが含まれます。従来の自動車産業の枠を超え、テック企業や新興スタートアップが主導権を握る領域となっています。モビリティテックがもたらす社会的インパクトは、①交通事故削減、②渋滞緩和と生産性向上、③移動弱者の支援、④交通セクターの脱炭素化、⑤都市空間の再設計といった多岐にわたります。自動車大国の日本も、MaaSや次世代モビリティへの転換が進み、産業構造の大きな変革期を迎えています。
先行企業
9. スマートシティ&インフラ
スマートシティ&インフラは都市・建築・インフラをデジタル技術で再構築する領域です。IoTセンサーやAIを活用した都市OSプラットフォーム、スマートビルディング、防災・減災のためのレジリエンスインフラ、都市の熱環境改善技術、次世代水処理・廃棄物処理システム、デジタルツインを用いたインフラ管理などが含まれます。世界的な都市化の進行(2050年には人口の68%が都市部に集中する見込み)を背景に、限られた資源・空間で持続可能な都市生活を実現するための技術革新が求められています。特に重要なのは、防災性・環境対応・利便性の三立を同時に実現することで、単なるデジタル化ではなく、人間中心・市民参加型のスマートシティ開発が世界的なトレンドとなっています。
先行企業
Siemens / ドイツ
スマートビルディング技術からエネルギーマネジメント、都市インフラのデジタルツインまで、都市OS全体を包括的に提供す。
Schneider Electric / フランス
ビル管理システムやエネルギーマネジメントプラットフォームを提供し、スマートシティの効率化とサステナビリティを実現するソリューションを展開している。
Woven by Toyota / 日本
トヨタ自動車が展開するコネクテッドシティプロジェクト。静岡県裾野市の「Woven City」では、自動運転、水素エネルギー、IoTが融合した実証都市の建設を進めている。
10. エドテック&ラーニングテック
エドテック&ラーニングテックは、教育の個別最適化とスキル再開発を加速させる技術領域です。デジタル教材、アダプティブラーニング、オンライン学習プラットフォーム、学習分析、教育管理システム、VR/AR教育、企業向けリスキリング・アップスキリングサービスなどが含まれます。特に生成AIの登場により、パーソナライズされた学習体験や即時フィードバックが可能になり、教育のあり方そのものが変革されつつあります。エドテックの社会的意義は、①教育の質と機会の格差是正、②労働市場の変化に対応した継続的能力開発、③教育コストの削減と効率化にあります。COVID-19パンデミックを契機に普及が加速し、今後も教育・人材開発のデジタル化は不可逆的に進展すると見られています。
先行企業
Duolingo / アメリカ
ゲーミフィケーションを活用した言語学習アプリで、AIアルゴリズムによる適応型学習と即時フィードバックを提供している。
Khan Academy / アメリカ
K-12教育からテスト対策まで幅広いオンライン教育コンテンツを無料で提供し、世界中の学習者と教育者を支援している。
atama+ / 日本
AIによる個別最適化学習プラットフォームを開発し、生徒一人ひとりの理解度に合わせた学習体験と効率的な学力向上を実現している。
Schoo / 日本
ビジネスパーソン向けのオンライン学習プラットフォームを運営し、DXやリスキリングに必要なスキル習得のための多様なコースを提供している。
11. ミドルテック(レガシー産業×AI)
ミドルテックは製造・建設・物流など「現場」主体の産業にAI・IoTを導入し変革する領域です。デジタルツイン、画像認識による品質管理、予知保全、自律型ロボット、ドローン点検、サプライチェーンの最適化などが含まれます。日本の強みである製造業や建設業などのレガシー産業において、属人性の高い技能をデジタル化・体系化し、人手不足や技能伝承の課題を解決するアプローチとして注目されています。ミドルテックの特徴は、最先端技術を現場の実態に合わせて適用する「現場起点のDX」であり、単なる自動化ではなく人間とテクノロジーの共創を目指す点にあります。産業基盤のデジタル化により、生産性向上と働き方改革の両立が期待されています。
先行企業
12. AI基盤テック
AI基盤テックはAIの社会実装を支える基盤技術領域です。高性能コンピューティング(GPU・専用チップ)、エネルギー効率の高い演算アーキテクチャ、大規模言語モデル(LLM)のファインチューニング技術、AIと人間の協調を促進するインターフェース設計、AIの解釈可能性・安全性・公平性を確保するガバナンスツールなどが含まれます。特に生成AIの登場以降、計算需要が爆発的に増加する中、「計算効率」と「エネルギー効率」の両立が重要課題となっています。また、多様な産業でのAI活用が進む中、専門知識を持たない人でも使いこなせる「民主化」と、リスク管理のための「責任あるAI開発」の両立も求められています。基盤技術の発展が他の全テック領域の進化を加速するという意味で、最も横断的な領域と言えるでしょう。
先行企業
NVIDIA / アメリカ
AIトレーニングと推論に最適化されたGPUとソフトウェアスタックを開発し、世界のAI革命の基盤となるコンピューティングインフラを提供している。
Groq / アメリカ
LLMの推論に特化した独自アーキテクチャのプロセッサを開発し、従来のGPUと比較して大幅な高速化と省電力化を実現している。
Cerebras / アメリカ
単一のシリコンウェハーサイズの世界最大のAI専用チップを開発し、従来の分散型システムよりも効率的な大規模AIモデルのトレーニングを可能にしている。
Graphcore / イギリス
インテリジェンス・プロセシング・ユニット(IPU)という独自設計のAI専用チップを開発し、次世代AIシステムのための高効率コンピューティングを提供している。
13. カルチャー&クリエイティブテック
カルチャー&クリエイティブテックは、アート、音楽、ゲーム、アバター、メタバース、生成AIが融合し、表現と文化の新しい形を創出する領域です。NFTなどのブロックチェーン技術を活用したデジタルアート市場、AIによる創作支援ツール、没入型エンターテインメント体験、バーチャルインフルエンサー、デジタルファッションなど、テクノロジーとクリエイティビティの融合によって生まれる新たな文化産業を包含します。日本のアニメやゲームなどのコンテンツ産業の強みを活かせる分野でもあります。この領域の特徴は、単なる効率化やコスト削減ではなく、人間の創造性を拡張し新たな表現方法や体験を生み出す点にあり、文化的・社会的価値と経済的価値の両立を目指しています。若年層を中心に急速に普及しており、次世代のエンターテインメントやコミュニケーションのあり方を形作る可能性を秘めています。
先行企業
Midjourney / アメリカ
テキストプロンプトから高品質な画像を生成するAIツールを開発し、デザイナーやアーティストの創作プロセスを革新している。
Runway / アメリカ
映像生成AIを中心とした創作者向けプラットフォームを提供し、映画製作やビジュアルストーリーテリングの民主化を進めている。
Pixiv / 日本
クリエイターのためのイラスト投稿・共有プラットフォームを運営し、最近ではAI創作支援ツールも展開している。
Cluster / 日本
バーチャル空間プラットフォームを開発し、ライブイベントやソーシャル体験などの新しいデジタルエンターテインメントを提供している。
おわりに — テクノロジーの先にある社会と産業
これら13の領域は、いずれも社会課題を起点としながら、未来に向けた新しい市場を創出する可能性を秘めています。重要なのは、これらの技術が単独で進化するのではなく、相互に影響し合い、融合することで新たな価値を生み出すという点です。例えば、エネルギーテックとAI基盤技術の融合は、再生可能エネルギーの予測精度向上と電力網の最適化をもたらし、クライメートテックとフードテックの組み合わせは、環境負荷の低い食料生産システムを実現します。
また、これらのテック領域は、単なる経済成長の原動力ではなく、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた具体的な解決策としての側面も持っています。気候変動対策、健康長寿社会の実現、持続可能な都市開発、質の高い教育の普及など、テクノロジーを通じて社会課題と向き合うことは、次世代産業の使命とも言えるでしょう。
社会構造が大きく変わる転換期においては、テクノロジーの進化だけでなく、それを受け入れ活用する社会システムや制度設計も同時に変革していく必要があります。企業、政府、市民社会が協力しながら、技術革新の恩恵を広く公平に分配することが、真に持続可能な未来への鍵となります。
私たちILYは、こうした先端産業の文脈においても、事業創造・成長支援・社会実装を担うデザインパートナーとして事業成長に向けた支援を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。