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【プロジェクトインタビュー】MANARAwithが目指す顧客エンゲージメントとは。

【プロジェクトインタビュー】MANARAwithが目指す顧客エンゲージメントとは。

お客様ともっと近く、もっと楽しく。「通販コスメ」の常識を変える。

マナラ化粧品を提供する、株式会社ランクアップ宣伝部の餅原さん、河村さんにお話をお伺いいたします。聞き手はILY, inc.の辻原です。

ILY.辻原:ではまず、MANARA withについて教えていただけますか?

MANARA河村さん:MANARA withは「マナラ化粧品」が提供する、お客様とともに楽しむためのファンサイトです。主にMANARA主催でお客様に提供するイベント情報やそれにまつわるレポート、最新情報などを提供しています。イベント情報をサイトに掲載し、お客様にイベントにご参加いただきながらMANARAというブランドを体験いただくのが趣旨のサイトです。

MANARA withの開発秘話

ILY.辻原:MANARA withの開発秘話をいくつかお話させていただきたいと考えています。MANARA withは2018年11月にリリースとなりましたが、企画自体はいつ頃スタートしたものでしょう?

MANARA河村:構想は2018年の2月ごろからありました。実は、お客様と直接会ってコミュニケーションを取ること自体は、2015年ごろから行っていました。はじめは、3~5名から始まり、毎年、東京、大阪、名古屋で20~30名ほどお呼びして、会っていました。そうして、通販化粧品であっても、お客様に対面で会うことの重要性が、社内で理解されるようになったのです。
しかし、招待会のサイクルはだいたい3~4ヶ月に1回ほど。
弊社の社長や取締役の思いは、もっと気軽にお客様に来て頂き、対面でのコミュニケーションを促進したいと考えておりました。

ILY.辻原:これまで対面以外でのお客様とのコミュニケーションはどのように取られていたのでしょう?また、そこでの課題などあったのでしょうか?

MANARA河村:既存のお客様とのコミュニケーションは主に会報誌で行なってきました。会報誌も多くのお客様におハガキなどでお喜びの声をいただいていたのですが、MANARAからの情報を発信するのみになってしまっていて、もっとお客様とコミュニケーションを取れないか・もっと生の声をお聞きできないか…という課題がありました。
そこで、「お客様とweb上でインタラクティブにコミュニケーションを取るための会員webサービスを作れないか?」として当初の計画がスタートしました。

ILY.辻原:確かに会報誌では「伝えたい情報を伝えるのみ」になってしまいますよね。お客様のニーズや生の声をいただくには少し遠いのかもしれません。確かにその点ではwebは「双方向コミュニケーション」の場としては適しているのかもしれませんね!しかし、MANARA withでは結果的に「会える通販」として、様々なイベントを提供する形となりましたよね。

MANARA河村:そうですね。お客様と、MANARA withの構築のために様々なお話をする中で「オンラインのコミュニケーションで完結してしまっていいのだろうか?」と思うようになりました。ユーザーインタビューやヒアリングの中でお客様が本当に求めているものは、ブランドとの「繋がり」ではなく「関わり」なのではないか、と感じたことが大きかったと思います。

サービスデザインのパートナー

ILY.辻原:今回サービスデザインのパートナーとしてデザインファームのbridgeさんにご依頼されていますが、どのようにお選びになったのでしょう?

MANARA餅原:元々は私が参加した新規事業設計のための研修会へ代表の大長さんが講義に来てくださっていたのがきっかけで、その講義の内容もさることながら、研修終了後の会食でお話し、「この方にお願いしたいなあ」と強く感じました。というのも、bridgeさんのコンセプトが「共創」で、私たちと一緒にサービスを考え設計してくださるというのが一番の決め手でした。
普通のデザイン会社だと、プロフェッショナルの方に完成形をご提案いただいて「ではそれでお願いします」となると思うのですが、そうしたプロセスでは依頼した側に「どのようにサービスを設計するのか」という知見は残りません。bridgeさんは共創というテーマで「学び、考え、作る」というサービスデザインのプロセスを一緒にやっていただけ、私たちの会社にも、このプロジェクトに参加するメンバーにもとてもよい機会になると考え、bridgeさんにお願いしました。

ILY.辻原:私の会社でもクライアント企業にデザインをご提供するお仕事をさせていただいておりますが、確かに「共創」というテーマは非常に重要ですね。一般的には「デザインをプロシェッショナルに依頼する」という内容が多いと感じています。
クライアントや受託という垣根を取り払いともに「顧客にとって一番よいもの」について考える、そういった取り組みはますます重要になってくると思います。今回はそのほかに期待されていたことはありますか?

MANARA餅原:そのほか期待していたのは「私たちの常識を取り払ってもらう」ことです。MANARAはもともとお客様との距離が近いブランドですので、私たちもこれまで多くのお客様にお会いしお話を伺ってきました。
しかし長年同じブランドに関わることでお客様に対する「固定概念」が出来上がってしまっているのでは、と感じるようになりました。たとえば顧客像や、そのニーズなどに対してです。

ILY.辻原:その点はいかがでしたか?取り払うことはできましたか?

MANARA餅原:そうですね。全く異なるものだったわけではないので、取り払えたというよりも「取り払う方法を学べた」というのが正解かもしれません。今回8名のお客様に2回に分けてインタビューやヒアリングを行わせていただきました。私たちが普段お客様からご意見をいただく際、前提条件を共有しているために「そうですよね」と深掘りをやめてしまうのに対し、大長さんは何度も何度も「それはどうしてですか?」を繰り返してどんどんお客様の意見を深掘りしていきます。私たちからすると「えっ?そんなに質問して不快にさせないかしら…」と心配するところまで(笑)
これは個人的な感想ではありますが、今回bridgeさんとご一緒させていただく中で私たちに「傾聴力」がついたのは大きな収穫だったと感じています。

「共創」のプロジェクトデザインについて

ILY.辻原:ここからはbridgeの代表大長さんにMANARA withのプロジェクトデザインについてお話をお伺いしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

bridge大長:よろしくお願いします。

ILY.辻原:bridgeさんはサービス・イノベーション創出を専門とするデザインファームということですが、普段はどのようなお仕事をされていますか?また、「共創」というコンセプトはどう行った由来なのでしょうか?

bridge大長:企業における新規事業創出のためのサポートをさせていただいています。インキュベーションやサービスデザインなど、範囲や大きさは様々です。「共創」は僕がbridgeを創業する時から掲げているコンセプトで、通常僕たちデザイナーがプロフェッショナルとしてクライアントから依頼されて実施するクリエイティブな業務を「クライアントから取り上げない」ということを大切にしています。

ILY.辻原:取り上げない、ですか。

bridge大長:そうです。僕は、なにかを作る・興すというのはとてもクリエイティブで面白い仕事だと思っていて、それを依頼という形でデザイン会社に丸投げしてしまうと、面白い仕事にクライアントが携われなくなってしまいますよね。クライアントからその一番面白い仕事を取り上げてしまうのは良くない、その面白い仕事こそ僕たちデザイナーがクライアントとともにタッグを組んでやる価値があるものだと考えています。

ILY.辻原:大長さんのお考え方は、デザインという領域に関わる人間としてとても面白いと感じています。この領域では「デザインはわからないから」と匙を投げられてしまうことは、私自身経験として少なくありません。今回のMANARA withのサービスデザインのプロセスを少々バックアップさせていただきましたが、個人的に「クライアントと分担してリサーチを行う」ということに非常に驚きました。

bridge大長:「参考サービスや競合のリサーチ」ですね。今回はMANARA withで目指す世界をランクアップさんと一緒に「探っていく」というプロセスを重視しました。一般的にはデザイン会社の方がリサーチ~分析までを請け負うパターンが多いと思いますが、そうした場合クライアント側にとって「プロジェクトに対する手触り」が少なくなってしまいます。
もちろん全体の進行はbridgeで行なっていくのですが、プロジェクトのプロセスにおいて能動的に参加したという経験が、クライアントのご担当者さんにとって大きな価値になるはずですし、そのプロジェクトのその後のサービス自体のグロースにも大きく関わってくると思います。
ちなみに、僕は担当させていただくプロジェクトで「事前に答えを準備しすぎない」とういうことを大事にしていて、クライアントさんとディスカッションしたりアイディエーションしたり。そうした協働の中から生まれたものを、クライアントと一緒に見つめる余白を作るようにしています。

ILY.辻原:なるほど、とても価値のあるお仕事だと感心しています。サービスデザインだけでなく、インキュベーションに携わられているbridgeさんならではのお仕事だと思います。ほかに、今回のプロジェクトで重視したことはありますか?

bridge大長:ほか重視したのは、顧客インタビュー会の設計です。どういった順番でヒアリングを行うか、どういった内容をディスカッションするか、どういった情報をアウトプットしてもらうか…
その中で一番成功したと考えているのは、インタビューさせていただくお客様に「MANARAのイメージ」としてそれぞれ画像を持ちいただいたことです。ご自身が撮影した写真から、抽象的なイメージ、ネットで探した図など、様々なものをお持ちいただきました。同じブランドを説明するのでもここまで違いが出るものか、僕自身も驚きましたしMANARAさん側にとっても新鮮だったようです。

プロジェクトの進行プロセスについて

ILY.辻原:ではここからは、プロジェクトのプロセスにお話させてください。今回のプロジェクトでは、下記のようなプロセスで進行いたしました。
ユーザーインタビュー会を2回開催したのはどういった意図だったのでしょうか?

bridge大長:まずは自分たちが持っている情報と、デスクリサーチの情報を整理し「不足している情報」を洗い出すところから始めます。情報を整理していく中で「分かっていたつもりだった」とか「本当にそうだっけ?」とか。商品を提供しているクライアントサイドは毎日そのブランドに触れているので。 そうしていきながら集めるべき情報を整理していきます。1回目のユーザーインタビュー会はその不足している情報を集めるために行います。そこで得た情報を元に仮説を作っていきます。「こういう体験を提供するのがいいのではないか?」「こういうサービスが求められているのではないか?」その仮説を検証するのが2回目のインタビュー会です。

ILY.辻原:MANARA withの当初の想定はイベントを取り扱うというよりも、オンラインコミュニケーションを促進するコミュニティサイトとしての色合いが強かったですよね。
インタビューでいろいろなお話をユーザーさんからお聞きするたびにMANARAというブランドがただの化粧品としてではなく、もっと特別な意味合いを持っていることが分かったのは2回目のインタビュー会だったと感じています。

bridge大長:「オンラインでこうしたコンテンツがあったらどう?」「どんなコンテンツが欲しい?」という質問についてユーザーが、「あったら楽しいだろうし見るとは思うけど、私あんまりインターネット使わないんですよね」という答えが来た時ですよね。
MANARAユーザーの本質的な理解ができた回答だったと思います。MANARAは「忙しい女性のため」「頑張る女性のため」の化粧品で、ユーザーはそもそも忙しいお母さんや働く女性が多いんです。 ユーザーインタビューを終えてMANARA河村さんから「会える通販にしたい」というコンセプトをお聞きした時は、すごく僕自身ハラオチしました。そっか、そうだよなって。
お客さんがMANARAに求めていたのは体験そのものによる喜びだったんだと。

ILY.辻原:さらに「会える」というのと「通販化粧品」というのがアンビバレンツで非常にユニークですよね。とてもMANARAさんらしい!と私もその時のブレイクスルーの印象を強く覚えています。
その点が上記図の「転換」ですね。そこから実際にどのようなアウトプットにするのかを詰めていきました。ただの「イベントサイト」になってしまうのではなく、よりMANARAらしい意味を作っていく。

bridge大長:どうせなら「1000人に会おう!」みたいな。(笑)僕がMTG中にポロっと言ったことですが、これもMANARAさんらしさですね。
1000人に会って写真を撮ろう、と。この数字が強い手触りと愛着になっていくんだと思うんです。たくさんの人に喜ばれて、楽しんでもらって、運営している自分たちも嬉しくなるような。

ILY.辻原:1年間で1000人ですよね!
なんとすでに800人を超えているんですよ。嬉しいですね。

ミニマムでも最高の顧客体験を

ILY.辻原:ではここからはサイトやサービスの設計についてお話をさせていただきます。サイトの設計はILY.で担当させていただきました。もっとも苦慮したのはもともとコミュニティサイトの色が強い企画だったのを、どこまでミニマムにできるかという点でした。

MANARA河村:そうですよね。「会える」というのを実現するのはイベントの開催でいいものの、それで本当に満足度が高まるのか?は心配でした。そして私はイベントの開催も担当しているのでスタート時は非常に不安で(笑)。本当にサイトの運営やイベントの開催は問題なくできるのかとか、1000人って達成できるの?とか。やることが多すぎて当初は戸惑いが多かったです。

ILY.辻原:また、初めてだらけの試みだったのでサイト自体はミニマムにしましたしプロトタイプ的でもありますよね。ブランドの世界観は変えず守りながら、機能自体はミニマムにしていく。ただ、やはりイベントサイトなのでコンテンツが大事で。

MANARA河村:サイトはミニマムでも、イベントでの喜びや体験を最大化したいと思っていました。そちらに注力できるようサイトの運営・管理は最低限に、という設計になりましたね。本当は「商品開発日記」みたいなのも追加したかったんです(笑)。私はもともと開発部の人間なので。これはもっと体制が整ったらやりたいですね!

お客様からの反響

ILY.辻原:半年ほど運営されていかがでしょうか?お客様の反響など。

MANARA河村:反響はめちゃめちゃ現場でいただきますね(笑)。イベント中はとても笑顔が多くて、それこそが評価かなとも感じています。リピーターさんがとても多いんですよ。あと、まだMANARAを使ったことはないけど遊びに来てくださる方がいたり。イベント中にいろんなお話をお聞きできてすごく新鮮です。

ILY.辻原:どんなイベントが人気ですか?

MANARA河村:やはり社長ランチです!15名の枠に60名以上の応募があったり。ありがたいことにお客様の中に社長ファンが多く、会える・話せるということにとても喜んでいただけます。都内だけでなく九州や近畿、北海道までランチ会やイベントのため遠征したりもしています。地方のお客様に会えるものとっても新鮮ですし、地方はこういうイベントが少ないのでとても喜んでいただけます。

ILY.辻原:とても素敵ですね!会社全体がお客様を大事にしているのが伝わって来ますし、MANARAさんが運営自体を楽しまれているようでとても嬉しいです。今後お客様とどんな関係を作っていきたいですか?

MANARA河村:そうですね、運営は正直大変ですがイベントやお客様と接する現場はやっぱり楽しいです。お客様に「河村さん~~!」って名前を覚えていただくのもとっても嬉しい。今後については、やっぱりMANARAというブランドを体験してくださるお客さんを増やしたいですね。MANARA withでのイベントはブランド体験の一つだと思っているのですが、もっとブランドを強化しながらお客様とよりよい関係性を作っていきたいです。
私たちはMANARAを通じてお客様の人生がより輝く瞬間を提供し続けたいと考えています。それは化粧品を利用して肌がキレイに!というだけでなく、体験を通じてその方が心から輝くような。その体験や世界観をより多くのお客様と共有したい、というのが私たちの目標です。

ILY.辻原:人生が輝く、というのはランクアップ社のMISSIONにもありますよね。実現に向けて頑張っていきたいですね。

本日はありがとうございました!

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