STUDY_DESIGN&Business#03

前回のSTUDYに続く、#03として考えていきたい。

> #01:http://ily.today/study_designbusiness01/
>#02:http://ily.today/study_designbusiness02/

今回は「デザイン経営」における「組織」にフォーカスする。

ここ最近「デザイン組織」というワードをよく耳にするようになったが、その目的などは曖昧なようでもある。2Cサービスやプロダクトを提供しているから「デザイン組織」が必要なのか?イノベーションが必要だから?競合優位性を獲得するため?それらも目的の一つであるかもしれないが、組織マネジメントにおけるデザインの有効性とは一体どういうものだろうか?同じくまたいくつかの記事や書籍を引用しながら、思考を整理していこう。

まず私たちが「よい組織を持つ企業」を考える際に、真っ先に思い浮かぶ企業のうちの一つにgoogleがあげられるだろう。

 

グーグルが突き止めた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ / 現代ビジネスhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/48137

Googleが「社員の生産性を極限まで高めるにはどうすればいいのか」という命題で行なった生産性向上計画「Project Aristotle」のレポートのまとめである。分析の対象として、特に「チームワーク」を重視し、社内のさまざまなチームを観察し、うまくいっているところとそうでないところの違いを明らかにしようとした。

生産性の高いチームにおいて重要なファクターは「心理的安全性」であった。

「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだという。

また、今年出版され大きな話題となった「ティール組織」のホールネスの議論に通じるものでもあるが、自分の力を100%さらけ出せるかどうか。ここで言われるのは「仕事用の人格とスキル」を限定することなく、安心してすべての力を出せるかどうかという趣旨である。

社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを受け入れるための「心理的安全性」、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成することが、間接的にではあるが、チームの生産性を高めることにつながる。

さらにProject Aristotleのディティールを見てみよう。

 

Googleが発見した、もっとも成功しているチームに共通する5つの特性/ life hackerhttps://www.lifehacker.jp/2017/08/170817_successteam_5traits.html

Googleの志向性は明確に「生産性が高い」という議論に終始しており、「成功=生産性が高い」という強固な指針を持っている。(ここで私たちが十分に注意したいのは、その「生産性」の中身までを知ることはできないということだ)

下記をその5つの特性としている。

1.信頼性
チームメンバーは、基準をクリアする品質の仕事を、決められた時間内に終わらせることができる。

2.構造と透明性
チームメンバーは、明確な役割、計画、目標を持っている。

3.意味
チームメンバーは、仕事に個人的な意義を感じている。

4.影響
チームメンバーは、自分たちの仕事位は大きな意味があり、社会全体の利益にプラスの影響を与えると信じている。

5.心理的安全性
誰もが安心してリスクを冒し、意見を述べ、質問できるような環境です。そこでは、マネージャーが「上空援護」を担い、安全圏を作り出すことで、メンバーはガードを下げることができます。それが心理的安全性です。

Googleはそれ以外にも20%ルールに代表されるような、いくつかの独自ワークルールを持っている。(20%ルールは廃止されたという噂もあるが)

>> How work googleAmazon

にも記されているが、Googleの代表的なサービスである「Gmail」が本来の業務と全く異なる活動から生まれたのは有名な話であり、20%ルールが生み出された背景にはそうした経緯がある。またそれ以外のエンジニアリングドリブンな文化や働き方についても同じく自社の事業の質や指向から生み出されたものであり、GoogleのワークスタイルはGoogleというテクノロジー企業のために「適切にデザインされてきた」ということができる。「組織をデザインする」とはまさにそういった意味合いであることは忘れてはならない。

#02で触れたような再配分する価値を高め、副次生産を促し、リソースを循環し強化するような「よい経営」の図で考えるとgoogleのワークスタイルは下記のようになるかもしれない。

事業全体を見渡すと顧客提供サービスまで、Googleは「副次生産」を多く促しリソースを循環させ強化している。改めて「よい経営」のモデル企業のようでもある。

さて、そこから「デザイン組織」について考えていきたい。

 

デザイン組織の作り方/書籍Amazon

ようやく「デザイン組織」についてであるが、一体どういった目的で用いられどういったメリットがあるだろうか。書籍の副題にもある通り「デザイン思考を駆動させる、インハウスチームの構築&運用」がその主眼である。

デザイン思考がビジネスに必要になってきた背景には、その実産業革命と同等の構造の変化がある。

そもそも「プロダクト」と言えるものの数が圧倒的に少なかった時代に比べ、現代はとにかく多くのプロダクトが身辺にあふれている。それと同時に情報もあふれ、あふれた結果末端は個人にまで行きついている。「個人の時代」といえる現代において、その環境構造は非常に入り組み曖昧であり、また同じくそのインサイトも複雑で多岐に及ぶ。そういった環境においてはリニアでトップダウンの思考指示系統よりも、ネット状に拡散する思考指示系統が必要である。共感や観察からノードを見出し、アイディエーションによりそのノードを結節していく。デザインシンキングとはそのような社会構造の変化に対応するためのビジネスソリューションである。

加えて大きなビジネスの構造の変化とは、エースと呼ばれる企業のスターが事業や組織を牽引してきた前代から「チームワークで価値を生み出す」時代に変わったということにも関わる。デザインシンキングはそのためのソリューションでもある。さて、本書の内容に触れていきたい。

これまでデザインが果たしてきた役割と制限された領域について言及した上で、下記のように結ばれている。

これからデザインはその力を発揮して、アイデアから最終的な提供にいたる開発の前段階においてのみならず、マーケティングから製品、サポートまで、サービス体験のあらゆる側面に関わっていかなければならない。ただ、やっかいなことにほとんどの企業がそうした可能性を阻害するような構造で運営されている。

この議論は#01で触れた「エフォートとコンディション」に繋がるものである。

エフォートとコンディションについて図にすると下記のようになるが、エフォートとはその場で働く個人を中心に広がるものであり、コンディションとは働く組織から個人の影響範囲を限定するものである。(中心にあるのは「デザインチーム」であるとして考えて欲しい。)

この円の面積をできるだけ広く・上下の矢印をできるだけ長く、というのが本書の議論と方針であり、デザインチームのマネジメントの理想的なあり方としている。

そこから、本書で触れられる優れたデザイン組織12の強みは下記の通りである。

基盤
1.目的意識の共有
2.限定型リーダーシップ
3.ユーザーに対する真の共感
4.価値の理解、明確化、創出

成果
5.カスタマージャーニー全体を考慮する
6.すべてのスケールで遂行する
7.品質基準を策定し維持する
8.完璧さよりも価値の提供を優先する

マネジメント
9.チームを作るのはリソースでなく人
10.視点とバックグラウンドの多様性
11.協力的な環境の育成
12.効率的なオペレーション

さらに本書では、デザイン組織のための雇用・採用・パートナーシップ、またその文化の醸成の手法にまで触れている。詳細は本書を取っていただきたい。

最後にgoogleProject Aristotle命名の元になったであろうアリストテレスの言葉に触れておきたい。

全体は部分の総和に勝る。

その「総和」をどこまでデザインできるか、それが組織の命題である。
デザインとビジネスの考察は以上。
また続きを思いついたら。

 

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