ボンジョルノ、本間です。
今回は、6月10日に行ったILY.SESSION#05 Design&Business 『デザインと未来の話』をレポートします。

【ILY. SESSIONとは】

「デザイン」という言葉が示す領域は拡大し続け、デザインはビジネスに不可欠なスキルとなりつつあります。

私たちILY.がデザインエージェンシーとして最も重要だと考えるのは、小手先ではなく本質的で人間中心設計によるソリューションです。それらは決して閉ざされた専門領域内で生み出されるものではなく、ありとあらゆる領域を縦横無尽に点と点を結びながら最適解を手繰るような営みです。

ILY.-SESSIONは私たちが目指す領域横断的な知識や思考により豊かなデザインを実現するための相互学習プログラムとしてテーマを大きく3分類し、社内外向けに開催します。

【ILY. SESSION Theme】

  1. DESIGN&BUSINESS
  2. ART&HISTORY
  3. SCIENCE&TECHNOLOGY

(0)ILY.SESSION#05の詳細

ILY.SESSION#05 Business&Design『デザインと未来のはなし』

開催日時:2017年6月10日(土)14:00-16:00

[第一部]presentation

  1. 辻原咲紀(ILY.)「デザインという仕事の謎について」
  2. 大堀祐一(DENDESIGN)「新時代のデザイナー」
  3. 三上悠里「グラフィックデザイナーのアイディア発想法」
  4. 中村明史(Studio Spoon)「webの世界ってこんなにもおもしろい!」

[第二部]discussion

  • 最先端/最近おもしろかったデザイン事例
  • これからのデザイン〜10年後のデザインって?〜

今回は外部の会場をお借りして、参加者制限なしの、初めてのお客様も歓迎して開催いたしました。デザイナー3名をお招きし、「それぞれの立場から見えるデザイン」について、各社15分のプレゼンテーションと、3者によるテーマを設けてのディスカッションをし、デザインの未来や未来におけるデザインの役割について考察しました。
そして今回も配布資料として、オリジナルの教科書をつくっちゃいました!
活版印刷技術の発明された1440年〜現在までのデザインの歴史を網羅した年表や、各デザイナーの仕事をより理解するための単語帳が掲載されています!

(1)目次

 第一部/presentation

  1. 辻原咲紀(ILY.)「デザインという仕事の謎について」
  2. 大堀祐一(DENDESIGN)「新時代のデザイナー」
  3. 三上悠里「グラフィックデザイナーのアイディア発想法」
  4. 中村明史(Studio Spoon)「webの世界ってこんなにもおもしろい!」
  5. 第二部/discussion

  6. theme01.最先端/最近おもしろかったデザイン事例
  7. theme.02これからのデザイン〜10年後のデザインって?〜
  8. まとめ
  9. (2)デザインという仕事の謎について/ILY. 辻原咲紀


    まず始めに、弊社代表の辻原のプレゼンテーション。テーマは「デザインという仕事の謎について」。自身がデザイナーとして仕事をしていくなかでなかなか解き明かせない謎、それは「デザイン」そのものだったという経験から話は始まります。

    ●デザインって?
    グラフィックデザイン、DTPデザイン、webデザイン、appデザイン、ビジネスデザイン、コンセプトデザイン、ブランディングデザイン、サービスデザイン……
    さまざまな「デザイン」が世には存在しています。
    しかし、そもそもデザインとはなんでしょう?
    辻原はここで「DESIGNとは二者(以上)間の関係性の設計による課題解決」と定義づけます。また「DESIGNの価値とは設計最適化による体験価値の最大化」であるといいます。
    ある関係性の間で最大のしあわせを生み出すこと、それがデザインの役割ではないかと、ILY.の仕事内容や方向性を踏まえながら展開しました。

    ●デザインシンキングって?
    [designとDESIGN]
    デザインは「design」と「DESIGN」で意味が異なります。では、それぞれの違いはなんでしょう。
    一般的には、designとは、表面を美しくすること、DESIGNとは広義・広領域での「設計」であると言われています。
    デザインシンキングとは後者のDESIGNの領域の思想です。
    ネットでは次のように説明されています。

    デザイン思考とは不明確な問題を調査し、情報を取得し、知識を分析し、
    設計や計画の分野でソリューションを選定するための方法およびプロセスを指す。(引用:wikipedia『デザイン思考』

    優秀なデザイナーやクリエーティブな経営者の思考法をまねることで、新しい発想を生み出そうとする手法である。(引用:NIKKEI DESIGN『デザイン・シンキングとは何か』

    デザインコンサルティング会社であるIDEO(アイデオ)が始めたデザインシンキングという思考法は、下記のような順序を追って実行される手法です。
    「Empathize(共感)」→「Define(問題定義)」→「Ideate(創造)」→「Prototype(プロトタイプ)」→「Test(検証)」
    たとえばクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんや、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクらはどのようにデザインシンキングを用いてイノベーションを起こすのでしょうか。

    ●デザインとコンサルティングの関係
    IDEOの日本支社が博報堂に買収されたニュースを取り上げながら、次の話へと展開していきます。
    デザイン思考の基本手法は 「DTn(Design Thinking Driven by needs)」とよばれ、ユーザーニーズを起点として開発を行うやり方です。
    次に戦略コンサルの手法とは、収集されたデータを元にアイディアを具現化していく、デザイン思考とは逆ベクトルから出発し実行される手法です。
    この戦略コンサルの手法を取り込みながら、逆のベクトルからデザインを行うデザイン思考の手法の可能性を辻原が述べます。
    新しいデザイン思考は「DTf(Design Thinking Driven by framework)」。フレームワークから出発する手法だといいます。
    これまで挑戦されてこなかった方向からのデザインに対するアプローチを発見し、実行していくこと、さらにこれら3つがぶつかる地点に新しいデザインの可能性が隠されているのです。
    通常のデザイン思考におけるポイントは、ユーザーヒアリングやリサーチ、観察から得られる情報を中心にしていること。そして戦略コンサルの手法におけるポイントは、市場調査やマーケティングリサーチから得られる定量的情報です。
    では新しいデザイン思考のポイントとはいったいなんでしょう?
    デザインとは「ある二者(以上)間において最大のしあわせを生み出すことができるもの」です。辻原は最後に、下記のように問題提起をしました。
    「人を幸せにしようとするとき、人はなにを考え、なにを作っているんだろう?」
    この問いを解くヒントは、新しいデザイン思考にこそあります。
    「デザイン」の謎は次から次に立ちはだかってくるでしょう。しかし、この謎を解き続けることがデザインの可能性を拡張し、よりよい未来を切り開いていくことに繋がるのかもしれません。

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    (3)新時代のデザイナー/DEN DESIGN 大堀祐一


    続いてDENDESIGN代表取締役の大堀さんのプレゼンテーション。テーマは「新時代のデザイナー」です。ご自身が過去にシリコンバレーの500 Startupsのプログラムに参加し、経験、または目の当たりにした衝撃的なエピソードをベースに、現代のデザイナーに必要なスキルやまたこれからのデザイナーの在り方についてお話してくださいました。

    ●500 Startupsとは

    500 Startupsは、60ヶ国1,800社以上のスタートアップへ投資する、世界で最もアクティブなシード投資ファンドです。(引用:500 Startups『500 Startupsについて』

    ●本当にあったシリコンバレーな話⑴
    「めちゃめちゃLEAN STARTUP」

    アメリカの起業家エリック・リース氏が2008年に提唱した、起業や新規事業などの立ち上げ(スタートアップ)のためのマネジメント手法のことです。(引用:コトバンク『リーンスタートアップ』

    大堀さんはTokyo Otakumodeという企業とともに個人でデザイナーとしてプログラムに参加され、CGMサービスの開発を行ってきたそうです。
    このとき大堀さんたちがメンターより与えられた課題は、
    「You should make CGM asap.(ユーザーがコンテンツを投稿するメディアサービスを作れ!)」
    でした。
    投稿メディアサービスにおけるMVP(Minimum Viable Product)について、大堀さんたちはこのように考えました。
    ・トップ
    ・リスト
    ・詳細画面
    ・マイページ
    ・会員登録
    ・投稿
    ・退会

    しかしメンターの答えは衝撃的なものでした。
    ・リスト
    ・詳細画面

    「このふたつができたらリリースしろ!」

    このメンターの答えの根拠とは、
    「投稿がバズらないと誰も投稿しない。シェアされるためにはどんなコンテンツをどんな仕組みで見せればいいか検証しろ。リリース? 1週間でやれ!」

    ●本当にあったシリコンバレーな話⑵
    「デザイナーという職能の違い」
    2012年当時、アイコンデザインの流行はものをよりリアルに質感的に描くスキューモーフィズムでした。
    大堀さんも流行にもれず、スキューモーフィズムのアイコンをデザインしていたそうです。
    しかしある日、あるfacebookの投稿に目を留めます。
    「Hey guys! We need Designer & Photoshop Artist…」
    Photoshop Artistってなんだ?

    ●DesignerとPhotoshop Artsit
    DesignerとPhotoshop Artistのちがいはなんでしょう。仕事内容の内訳を比べてみます。
    ・photoshop Arttist

    ・Designer

    つまり、Photoshopアーティストとは「アイコンやUIのクオリティを高めるひと」であるのに対し、デザイナーとは「仮説を立て、MVPを作り検証するひと」だという違いが、上記の表の仕事内容の内訳からも見て取れます。

    ●本当にあったシリコンバレーな話⑶
    「Illustrator、Photoshopも使えない優秀なデザイナー」
    元Pinterestのデザイナーで、デジタルデータのCtoCマーケット『Gumroad』を運営するSahil Lavingiaというデザイナーを例にあげ、話を展開していきます。
    Sahilというデザイナーは当時19歳にして約8億円の資金を調達した非常に優秀なデザイナーだそうです。彼はIllustratorもPhotoshopも使えない、だけど優秀なデザイナー……どういうことでしょう?
    Sahil「スケッチを描いてイメージができたらすぐコーディングするよ。ブラウザでスタイルを調整するからIllustratorもPhotoshopも使わないよ」
    このことから、スタートアップにおけるデザイナーとは、
    「サービスの改善サイクルを回してビジネスを前に進める人」だと気付いたそうです。

    上記で述べたDesignerとPhotoshop Artistとのちがい、またSahilの仕事のやり方から、デザイナーの仕事やデザイナーとはどういう立場か、という概念について大堀さんのなかで更新されていきます。

    ●なぜ日本にこういうデザイナーがいないのか?
    デザイナー自身にその気がないのでも、教育機関がないわけでもなく、現在の日本にはそのポジションがないからだ、と言います。
    このようなデザイナーを育てていくためには、デザインを依頼する側の人たちも少しだけ意識を変え、いっしょに育っていく必要があります。
    たとえば「おしゃれなウェブサイトやチラシをデザインしてよ」と依頼するのではなく、「こういうサービスを作りたいんだけど一緒に考えてくれない?」という風に、プロジェクトの最初からいっしょにつくっていく能力がデザイナーにはあるし、これからのデザイナーにはその能力が必要です。

    ●新時代のデザイナーに必要なこと

    1. つくる力(情報設計・デザイン・実装)
    2. 柔軟な態度(低クオリティでも公開)
    3. 旺盛な好奇心(新しい情報を摂取し続ける)
    4. 対話力(異分野の話にも入っていける)

    必要だとはいいつつも、これらすべての能力を兼ね備えたデザイナーは非常に稀な人材です。
    これに対する現実的な解としては、「サービスの改善サイクルを回してビジネスを前に進めるデザインチーム」の存在ではないでしょうか。

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    (4)グラフィックデザイナーのアイディア発想法/三上悠里


    3番目にご登壇いただいたのは、フリーランスでアートディレクター兼デザイナーとして活動されている三上悠里さんです。テーマは「グラフィックデザイナーのアイディア発想法」。
    広告やブランディングの仕事をしながら言語化されていった、「デザイン」とはなにか、またグラフィックデザイナーがアイディアをひらめく独特の方法論についてお話しいただきました。

    ●デザインって、そもそも?
    「デザイン」という言葉は、最近では非常によく目にします。だけど、デザインってそもそもなにを指している言葉なのでしょう?
    コミュニティデザイン/ソーシャルデザイン/キャリアデザイン/ライフデザイン/ビジネスデザイン…
    これらの分野から見えてくるデザインの意味とは、
    「目的に対する適切なプロセスを設計することである」
    と三上さんは述べます。
    一方で、デザインとは「科学と芸術のあいだ」というオトル・アイヒャーのことばを引用し、
    「デザインとは論理的なプロセスのみによって構成されているわけではない」ということを強調します。

    ●グラフィックデザインって、そもそも?
    では、グラフィックデザインとはなんでしょう?
    それは、「”見えないものを見えるようにする方法”であり、”間接的に社会へ奉仕するもの”である」といいます。

    ●和菓子メーカーのコーポレートのリニューアルの話
    ここからはご自身のお仕事の話から、よりくわしくデザインやデザイナーについて紐解いていきます。
    北海道のとある和菓子メーカーの依頼で始まったプロジェクト。
    当初の依頼は「自社のWEBサイトをきれいにしたい」というものでした。
    主に携わったのは代理店のコピーライター、マーケター、そして外部デザイナーとして三上さん。3名は実際に北海道の工場を見学させてもらったり、いっしょに飲みにいったり、クライアントとの密なコミュニケーションをとり続けたそうです。
    そのなかでクライアントは気付きます。

    「表面のデザインを考えていたら、会社全体のことを考えざるをえない」

    ここからWEB制作の仕事から、コーポレートのリブランディングプロジェクトへと移行していきます。
    その後企業名をアイコン化したロゴタイプや、新しいタグラインの制定など、企業イメージの一新に成功されました。

    ●このプロジェクトのターニングポイントって?
    単なるグラフィックの見直しではなく、本質に立ち戻るという選択をしたこと

    ●アイディア発想法
    具体的なアイディア発想法とはいったいどのような方法なのでしょう?
    三上さん流アイディア発想法を3つご紹介いただきました。
    ⑴対話によって積極的に自分を変化させる
    当初クライアントからは、
    小豆をマークにしたい、和風にしたい、文字は筆文字がいい…などの要望があったそうです。しかし、クライアントやプロジェクトチームのメンバーと対話していくなかで、情報やアイディアの取捨選択を有機的に行い、本当に必要なものだけをピックアップしなければならない。そのために自分を常に変化させることが大事だ、ということを気づかれたそうです。。
    ⑵オーダーに応えるのではなく、そのアプローチが目的に対して適切かどうかを常に考える
    クライアントからの要望を受け入れるだけでなく、ゴールを明確化し、そのなかで最適な要素を選択、それらを設計していくことが必要だということです。
    ⑶手を動かす
    「アイディアは指先から生まれる」という言葉もあるとおり、自分の思考を常にアウトプットし、検証し、修正し、というサイクルを繰り返すことでよりよい結果へとつながっていくということです。

    三上さんは、「デザイン」とは論理的な設計のみでつくられるものではない、という強い考えをお持ちです。
    なにかものを生み出そうとするとき、リニアなプロセスではなく、そのプロセスのなかで時折戻ったり何度も行き来したりして試行錯誤を繰り返します。よいものを生み出すためのプロセスとは、非常にカオスな状態ではないでしょうか。
    何度もアウトプット・検証・修正を繰り返したり、表層だけでなく本質を捉えるために根本へとたち戻ったり。これはデザイナー特有の発想法というわけではなく、イノベーションを起こすためには、こういった理性的で泥臭くて柔軟な態度が必要とされるのではないでしょうか。

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    (5)webの世界ってこんなにもおもしろい!/Studio Spoon 中村明史


    最後はStudio Spoon代表取締役、中村さんのプレゼンテーション。テーマは「webの世界ってこんなにもおもしろい!」です。

    ●1991年8月6日
    この日が何の日だかご存じですか?
    1991年8月6日、スイスのアルプスにある欧州原子核研究機構「CERN」に勤めていたTimothy “Tim” John Berners-Leeが世界で初となるwebサイト【World Wide Web】を制作しました。
    webサイトのはじまりは、非常に簡素でシンプルなコードによって構成されたサイトでした。
    ここからwebの世界の歴史をたどっていきます。

    ●URL、HTTP、HTML
    1989年にHTMLが開発され、1990年に世界初のサーバーとブラウザが誕生しました。
    WEBサイトとは、HTTPという通信手段を使って、URLでファイルが保管されているサーバーの特定の場所へアクセスし、ブラウザでHTMLを人間の目でキレイに成形する仕組みです。
    その後1993年にMosaicブラウザが登場します。アメリカのイリノイ大学のマーク・アンドリーセン(後のNetscape開発者)によって、世界初の画像表示ブラウザ「Mosaic1.0」が発明されました。
    このブラウザの発明を契機に現在に続く大きなブラウザ戦争の歴史が幕をあげることとなっていきます!

    1994年 W3Cの設立
    W3Cとは、簡単にいえば「ウェブをみんなで使えるように、 使う人や場所や環境に差異がないようにしようね。そういう仕様や技術書を作成したり勧告するよ」 という機関です。

    1996年 CSS1.0を勧告
    今まで、HTMLでも簡単な文字の装飾などが出来ていましたが、W3Cが 「HTMLって本当は文書構造を記述するためのものだから、装飾したい場合はCSSを使おうよ」 と勧告します。

    1997年 HTML4.0を勧告
    CSS1.0に続き、HTML4.0の仕様をW3Cが勧告。ここから「HTMLは文書構造を記述するもの、CSSは体裁を整えるためのもの」という切り分けが明確になっていきます。

    1998年 XML1.0を勧告
    HTMLの発展型として「XML」という規格が、W3Cから勧告。

    2000年 XHTML1.0を勧告
    「XMLはデータのやりとりに最適。だから段階を経てXMLへ移行させよう。ひとまず今までのHTMLの仕様を、このXMLに準拠したものに新しく書き直したよ」 ということで、HTML4.0を基にしたXHTML1.0が勧告されました。

    2004年 CSS2.1を勧告
    W3Cが新しいCSSの仕様を勧告。同年、世界にはブログが広く普及しXHTML+CSSが流行。また、ウェブアプリが勢力を拡大していました。

    2004年 W3Cワークショップ
    Mozila・Apple・Operaに所属するメンバーによって「WHATWG」が設立。現状のHTML機能を拡張させる取り組みが独自で進みます。

    2006年 XML移行プランの失敗
    WHATWGの仕様は評価されていき、ティム・バーナーズ・リーが「世界をXMLへとスイッチさせる試みはうまく機能しなかった。」 と自身のブログで発言。

    2008年 HTML5草案を発表
    ようやく漕ぎ着けた新HTML。従来のHTMLとの違いは、その拡張性と互換性。元々、ブラウザベンダーやそれに賛同した人たち主体で進行していたプロジェクトだったため、現場の声がよく反映されている。文書構造という概念はもちろんありますが、次世代というか、現代的な香りのする仕様になっています。

    2011年 6月/CSS3勧告
    2014年 10月28日/HTML5勧告
    ここから、WEBの歴史は加速していきます!

    ものすごいスピードで進化していくwebの世界。
    今後はどのように変化・進化していくのでしょうか。

    ●sex.com
    このドメイン、いくらだと思いますか?
    会場に質問を投げ、みなさん「3万円?」「5000円?」などと予想をたてていくなか、なんと!!!
    13億円!!!!!!
    で取引されたそうです……!!
    (こちらのwebサイトはご想像のとおりの内容なので、閲覧にはご注意ください)

    ●中村さんおすすめ!おもしろウェブサイト!
    AppleやGoogleのサイトの変遷を見ながら、歴史のお話をされたあとは、中村さんがおすすめするおもしろウェブサイトの紹介コーナーです!会場からは笑い声が聞こえ、非常に盛り上がりました。
    今回ご紹介いただいたサイトはこんな感じです。ぜひご覧ください〜!

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    (6)デザインと未来のはなし/discussion


    休憩をはさみ、第二部へ突入!
    discussionメンバーは、大堀さん、三上さん、辻原。そして司会を岩井が担当して、第二部では2つのテーマについてみんなで議論しました。

    ●theme1.最先端/最近おもしろかったデザイン事例
    このテーマについて、全員がそれぞれ1つずつ事例をピックアップして紹介していきました。

    大堀さん:prototypo
    大堀さんがご紹介したのはwebサービスの分野から、オリジナルフォントを簡単に作成できるサービス「prototypo」。しかも、作成したフォントを販売することも可能。ちなみに大堀さんはフォントオタクだそうです。
    「ライセンスを購入する必要なく、半永久的に最適なオリジナルフォントを使用できる。これからのデザインは、webやチラシだけでなく、そもそもフォントからつくっていく必要があるのかもしれない」

    三上さん:文鳥文庫
    三上さんがご紹介したのは紙の分野から「文鳥文庫」です。版権の切れた夏目漱石などの小説が読める16p程度の蛇腹折りの本。
    「Kindleにはない紙の美しさがあり、文庫本を携帯するよりも手軽な文鳥文庫は電子書籍に回収されず、第三のルートをつくれるのではないか」

    辻原:Googleロゴの変更について
    辻原が紹介したのは、ロゴ変更の話。Googleのロゴ変更は大きな話題になりましたよね。ベクターデータになることでデータサイズを縮小し、さまざまなデバイスでのストレス軽減に成功し、アニメーションとの連携をスムーズになりました。
    「流行やグラフィック部分ではなく、複数のデバイスをまたいで操作される時代に合わせたデータ量の変更というのは画期的」

    ●theme2.デザインの未来について

    第一部の話と、共有しあったデザイン事例を踏まえ、これからデザインはどこに向かうのか、デザイナーが拡張しうる領域ってどういうものなのか、未来のデザイナーに必要とされるスキルとはなんなのか、などデザインがもつさまざまな可能性について議論を交わしました。

    たとえばgoogleの音声入力の開発。「Ok, google」と呼びかけて検索したいことを話しかけると知りたい情報が取得できます。今後も発展していく技術だと思いますが、辻原は「この技術の未来にグラフィックデザインは必要とされない」と言います。画面を見なくても音声で操作されてしまうサービスにUIデザインは不要となります。もしその未来が来たとき、必要とされるデザインの力とはなんでしょう。
    それに対して「VR技術の発達によって、VR空間で働く人が出現していくのでは?」と大堀さん。
    現実社会とVR世界の狭間。AIが発達しUIデザインが用をなさなくなった世界で、デザインはどのように作用するのでしょうか。
    たとえば10年後、ひとはなにを幸せだと感じ、どのような社会に生きているでしょうか。
    人と人を取り巻く環境を、どうつないであげられるかがデザインの仕事です。
    社会が変化し続けるなら、デザインも、デザイナーも常に変化していかなくてはいけません。
    未来、デザインはどのように変わっていくのか、変わっていくべきなのか、考え続けることもまた、デザイナーの仕事ではないでしょうか。

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    (7)Q&A

    当日会場ではあるシステムを使用して、参加くださったみなさまよりリアルタイムで質問を受け付けていました。
    こちらからまだ閲覧いただけます!
    実はこの「あるシステム」というのは、中村さんが今回のために開発してくださった質問システムで、参加者のみなさんはキャラクターとニックネームを選択し、チャットルームで質問したり会話したりできるものです!かわいい!
    この質問システムであがった質問を一部抜粋してご紹介します。

    Q.UXデザインと勉強する・考える際におすすめの本やサイトを教えてください。
    A.「UXデザインをはじめる本というのがわかりやすくてオススメです。
    あとはユーザーの話を聞きに行くのが一番のキモだと思います。」

    Q.本質的なところから見直し、最適化に取り組まれたとのことで、たいへんうらやましく思います。
    最初のスケジュール計画のときに、見積もり交渉などで苦労されましたか?
    それとも、スケジュールのことはあまりとやかく言われませんでしたか?

    A.「ありがとうございます!事例の案件に関しては、代理店が間に入っていたため先方との見積もり交渉はそちらにお願いしておりました。スケジュールに関しては、もう先方と話しながら……という感じでした。なかなかアクロバットなスケジュールではありましたが笑」

    Q.これからデザイナー(特にweb)を目指す初学者に向けて、どのようなプロセス・実践方法であればメキメキと上達すると思いますか?
    A.「いわゆるハウツーも大事だけど、概論や歴史のような俯瞰の勉強が長い目で見て重要。
    HTMLスケッチやデッサンが有効。かっこいいサイトのコードを忠実に真似する。はじめはわからなくても、いくつかやっていく中で法則や構造を理解できるようになる。」

    そのほかにも、「デザイナーの次に考えているキャリアはありますか?」という質問に対して、三上さんが「陶芸家」、大堀さんが「経営者」、そして辻原が「そのどっちもやりたいです!」と答えるなど、ユニークな質問や鋭い質問など参加してくださったみなさまとの質疑応答も非常に興味深いものでした!

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    (8)まとめ

    ゲスト講師をお招きして開催したILY.SESSION#5「デザインと未来のはなし」でしたが、4者4様の視点からのお話があり、とても意義深い回となりました!「デザイン」と一言にいっても、すでに捉えどころのないほどデザインの領域は拡大し、さまざまな分野との境界線をまたいでさらに拡張を続けています。
    きっと1年後、5年後、10年後…いまのわたしたちからは想像もつかない形で「デザイン」という仕事は進化し存在しているかもしれません。中村さんがおっしゃったように「webの世界は信じられないスピードで進歩をとげていく」し、それはwebの世界に限ったことではないでしょう。そのような時代で新たな価値を創造していくには、三上さんのお話にあった「論理的でありながらも柔軟ですこし泥臭いデザイナーのアイディア発想法」が必要になるでしょうし、大堀さん的「新時代のデザイナー」が確実に重要な存在となってくると思います。
    来るべき未来のために、未来におけるだれかのしあわせのために、ILY.も「デザイン」という謎に立ち向かい続けたいと思います!